実は全くの別物?!ビフィズス菌と乳酸菌の大きな違いとは
あなたは、乳酸菌とビフィズス菌が全くの別物であるということをご存知ですか?
よくヨーグルトや乳性飲料で、乳酸菌やビフィズス菌が配合されたものを見かけますよね。
ですから、乳酸菌とビフィズス菌って同じようなものなのかな?と思われてしまうかもしれません。
しかし、この乳酸菌とビフィズス菌は、菌の分類から菌の性質まで大きな違いを持っているのです。
今回の記事では、乳酸菌とビフィズス菌の違いについて、その性質や働きに触れながらお話しします。
乳酸菌とビフィズス菌はどちらも善玉菌
乳酸菌もビフィズス菌も、人間の腸の中で善玉菌として働きます。
この善玉菌は、腸内環境を整えて美容や健康、精神面など、様々な体に嬉しい影響を与えてくれます。
このように、どちらも乳性飲料や健康サプリメントに使われ、整腸作用という効果の面では同じ働きをします。
しかし、生物学的な分類では、乳酸菌とビフィズス菌は全くの別物なのです。 両者の属性や菌の性質、腸内における働きの違いについて見ていきましょう。
乳酸菌とは
生物学上では、「ラクトバチルス属」や「ラクトコッカス属」、「エンテロコッカス属」などの菌属に分類される細菌です。
腸内に住む乳酸菌の数は?
私たち人間の腸内には、1億~1000億個の乳酸菌が住んでいます。多いように思われますが、この数はなんと腸内に存在する善玉菌のわずか0.1%程度なのです。
乳酸菌の形は?
乳酸菌の形としては、球状の乳酸球菌や、棒状の乳酸桿菌があります。
乳酸菌が生息する場所は?
乳酸菌は、ヒトや動物の腸内だけでなく、ヨーグルト・チーズ・キムチ・納豆といった発酵食品にも存在しています。
これは、酸素があっても生育できる「通気性嫌気性」という性質を持っているためです。
後述するビフィズス菌とは異なり、乳酸菌は自然界に広く生息している細菌なのです。
乳酸菌が作り出すものは?
その名の通り、乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出します。
乳酸菌の腸内での働きは?
乳酸菌は腸内の善玉菌の0.1%程度にしかすぎません。
だからといって、乳酸菌をとっても意味がないというわけでは全くありません。
乳酸菌は腸内で善玉菌として活躍するほか、ビフィズス菌のサポート役としても働いてくれます。乳酸菌は、ビフィズス菌が生息しやすい環境をつくり、ビフィズス菌の増殖を助ける働きを担っているのです。
また最近では、花粉症対策に良いとされる「フェカリス菌」や、虫歯を効果的に防いでくれる「L8020乳酸菌」のように、特定の効果に特化した乳酸菌も注目を集めています。
ビフィズス菌とは?
生物学上では、「ビフィドバクテリウム」という菌属に分類される細菌です。
腸内に住むビフィズス菌の数は?
私たち人間の腸内に生息するビフィズス菌の数は、なんと乳酸菌の約100~1万倍にあたる1兆~10兆個と言われています。こんなにたくさんのビフィズス菌が腸内にいるとは、驚きですね。
このビフィズス菌は、腸内に存在するすべての善玉菌の99.9%を占めています。 つまり、腸内の善玉菌はほぼすべてがビフィズス菌というわけです。
ビフィズス菌の形は?
ビフィズス菌の形は、Y字やV字に分岐した独特の形状です。この枝分かれしている菌の形から、ラテン語で「分岐」という意味である、「ビフィズス」の名前が付けられました。
ビフィズス菌が生息する場所は?
ビフィズス菌は、主に人や動物の腸内に生息します。
乳酸菌とは対照的に、酸素があると生育できない「偏性嫌気性」という性質を持っています。そのため、乳酸菌のように自然界に幅広く生育することができないのです。
ビフィズス菌が作り出すものは?
ビフィズス菌も、乳酸菌と同じように乳酸を作り出します。
しかし、乳酸菌との大きな違いは、乳酸だけでなく「酢酸」も作り出すという点です。 この酢酸は強い殺菌力を持ち、腸内の悪玉菌の増殖を効果的に抑えてくれるのです。
ちなみに、乳酸菌の定義の1つに、「糖を分解して作る代謝物の50%以上が乳酸であること」があります。ビフィズス菌も乳酸を作りますが、それ以上に酢酸を作るために、乳酸菌の定義に当てはまらないのです。
ビフィズス菌の腸内での働きは?
先ほどもお話ししたように、私たちの腸内のほぼ全ての善玉菌がビフィズス菌です。 そのため、ビフィズス菌を摂取することが腸内の善玉菌を増やすことにそのまま直結するのです。
ビフィズス菌は腸内で善玉菌として働くことで、高い整腸作用をもたらしてくれます。
また、ビフィズス菌が作り出す酢酸によって悪玉菌の増殖が抑えられるため、悪玉菌が体に及ぼす悪影響を防ぐことができるのです。
悪玉菌の原因や悪玉菌がもたらす悪影響については以下の記事も参考にしてみてください。
ビフィズス菌の方が優れているの?
腸内に存在するほぼすべての善玉菌がビフィズス菌であることや、ビフィズス菌が作り出す酢酸が高い殺菌能力をもつことから、ビフィズス菌の方が優れているように思われるかもしれません。
確かに、ビフィズス菌を摂取するということは善玉菌そのものを摂取するということであり、直接的に整腸作用につながります。
しかし、乳酸菌も腸内でビフィズス菌のサポートをしてビフィズス菌の増殖を促すという重要な役割があります。
ビフィズス菌も乳酸菌も、両者ともが腸内環境を整える働きをしてくれる優れものなのです。 ですから、どちらも積極的に摂取するのが望ましいでしょう。
ビフィズス菌については、以下の記事も参考にしてみてください。
まとめ
今回は、乳酸菌とビフィズス菌の違いについてお話ししました。
どちらもヨーグルトや健康サプリメントに使われていますが、その生物学上の分類や菌の性質は大きく異なります。
このように乳酸菌とビフィズス菌は全くの別物ですが、どちらも腸内環境改善に良い働きをしてくれる優れものです。
乳酸菌やビフィズス菌を積極的に摂取してみてはいかがでしょうか。